よみのつづり。

ライトノベルを中心に読書感想文を書いています。

【感想】声優ラジオのウラオモテ #02(作:二月 公)

あらすじ

声優ラジオのウラオモテ #02』は、


 良くも悪くも注目を集めた歌種やすみ夕暮夕陽のラジオは続投が決定する。

 だが、スキャンダルの影響は甚大。

 アイドル声優のウラオモテをオープンにしてしまったやすみ夕陽は、ファンから、そして同業者からも批判を受けることになってしまう。


 というストーリーでした。

感想

 作風や雰囲気については第1巻の感想にて。

yomitsuzu.hatenablog.com

 第2巻ではスキャンダルからの再起が描かれます。

 私的には新登場する実力派アイドル声優・柚日先(ゆびさき)めくるちゃんが好きですね。

 初登場時には正論パンチでやすみを打ちのめすのですが、ある秘密が発覚すると……という実においしいキャラクターでした。

思うところ

1

 第2巻までの印象を語ると、『声優ラジオのウラオモテ』シリーズは地に足が着いたお話だと感じます。

 第1巻も第2巻も、

  • 二人が声優として未熟であると自覚

  • その至らぬところを二人で乗り越える展開……ではなく

  • 横槍によって声優生命の危機に陥る展開

 となっています。

 つまり、『なんやかんやあって最後はアイドル声優として大活躍でぶち上がり』というストーリーではありません。

 ひたすら匿名・外野の存在にうんざりさせられる中で二人が周囲の先輩・大人に支えられて地道に頑張るストーリーなのです。

(ただ、第3巻ではこのパターンから外れていることは明記しておきます)

 その割に話の途中からとにかく気になって仕方ないのが、

  • 学校特定まで行った時点でその他諸々も危ぶむべきでは

  • まず警察に相談するべき事案では

 ということであり、第1巻・第2巻と立て続けに『お話をいい感じ風にまとめるための敵役』だったと感じました。

 いやエモい感じで終わりましたが、問題の解決には至っていないような……?


2

 また、タイトルにも掲げられている『ラジオ』要素は第1巻以上に脇に置かれているようにも感じました。

 活動の主戦場がラジオ番組でない以上は仕方ないのですが……そこは本当に残念。

感想の要点

  1. ストーリーの内容は第1巻の後始末

  2. 雰囲気は終始暗め

  3. 新登場のめくるちゃんが可愛い

  4. お話をいい感じ風にまとめるための敵役

  5. ラジオはおまけ

【感想】声優ラジオのウラオモテ #01(作:二月 公)

あらすじ

声優ラジオのウラオモテ #01』は、


 マイナーアイドル声優・歌種やすみとして活動する女子高生・佐藤由美子

 そんな彼女が、人気急上昇中アイドル声優・夕暮夕陽とラジオ番組の仕事をすることに。

 憧れの夕陽と初面会した由美子は、そこで初めて夕陽の正体がクラスメイト渡辺千佳だと知る。

 同級生・同業者としてライバル関係を育む一方、2人はある問題から『オモテ(アイドル)』と『ウラ(素の自分)』の間で揺れ動くことになる。


 というストーリーでした。

感想

 ストーリーの流れは『バディもの』。

 険悪だった2人が次第にある部分で認め合い、佳境では協力し合う、という定番のお話です。

 由美子のウラはギャル(言動にギャル感ゼロだが)で自己評価が低く、アイドル声優は憧れ。

 千佳のウラは陰キャ(というより生真面目で少しズレている)で、アイドル声優は虚像。

 そんな2人の関係がどう深まっていくかは……ぜひあなたの目で確かめてください。

 サブキャラクターには大人が多く、自信を持てない由美子を要所要所で助けてくれる、厳しくも暖かい人間関係が描かれていました。

 また、文章もあっさり気味なので読み疲れしません。隙間時間で読み進めるのに向いていると思います。

思うところ

1

 この小説を手に取ったときは、タイトルとあらすじからラジオ業界でJKが活躍する『お仕事もの』を想像していました。

 実際には舞台こそ業界ですが、メインは女の子2人の交流であるように感じました。

 ……どう違うのか?

 なぜ上記の印象を抱いたかと言うと、

  • 肝心のラジオシーンがSS形式(キャラクターのアイコンとセリフのみ)
  • ラジオはあくまでアイドル声優の活動の1つ
  • 作中での活動描写が他作品で見慣れているもの

 という複数の不満点があったからだと思います。

 また、大体の活動を由美子が経験しているため、2人で『初めて』に挑む感覚がない

 確かに文章があっさりなので読みやすくはあるが、作品・作家様特有の空気感がない印象でした。


2

 もうひとつの大きな不満点が、終盤の展開です。

 作中で語られる『オモテウラ』から予想できる展開とはいえ、因縁のない第三者から足を引っ張られる展開はちょっと盛り上がれませんでした。

 この手のキャラクター、私は『ストーリーをいい話風にまとめるための敵』に感じてしまいます。

(これは、アイドル声優としてもっとポジティブでエモエモでビッグなことをやってほしかった、という好みの問題かもしれませんが)

感想の要点

  1. 女の子2人が主役のバディもの

  2. あっさり気味の読みやすい文章

  3. ラジオシーンには期待することなかれ

  4. バディに立ちはだかる敵がイマイチ

補足

 本作は第26回電撃大賞・大賞受賞作

dengekitaisho.jp

 また、2024年4月からアニメ放送!

seiyuradio-anime.com