あらすじ
優秀な生徒でありながら王宮魔法士の試験に落第したアレン。
厳しい競争に挫折し帰郷するつもりが、恩師の計らいにより公爵令嬢・ティナの家庭教師を務めることに。
ティナは王立学校への入学を志す才女だが、初級魔法すら使えないという欠点があった。
感想
『公女殿下の家庭教師』は、いわゆる『師弟もの』です。
『師匠と弟子』という関係性、そして両者の成長が楽しみどころなジャンルですね。
ただ、
- アレンが平坦なキャラクター(謙虚というより卑下しがち)であること
- ティナの他にエリーというメイドの女の子にも魔法を教えること
この2点から、どちらかと言えばハーレムラブコメなテイストが強いように感じました。
王立学校の入学試験を巡るバトルや謀略といった要素はほぼありません。
ヒロインたちの可愛さを武器にした作品だと私は受け取りました。
思うところ
1
ただし、その武器が刺さるかどうかは人それぞれだと思います。
物語の起伏が乏しく、大部分をティナとエリーによるハーレムで占める上、その内容も、
- エリーがやたらドジっ子で
- アレンがやたらとエリーの頭を撫で
- ティナがやたらと嫉妬する
とにかくこの繰り返しで、私はワンパターンに感じてしまいました。
2
また、『謙虚チートな魔法授業』という副題。
魔法がどういう仕組みで使えるかについては簡単に説明されるのですが、そもそも世界観が曖昧なために『どうチートなのか』が今一つ分からず。
(そも、『チート』という言葉が作品の雰囲気に合っていない)
しかも以後の展開により、
- 魔法が使えない問題は消える(『チート』でどうこうという話ではない)
- そのことで面白い展開に発展するわけでもなく
- 先生の一人称視点により生徒の試験内容は不明
となってしまったことが私的には残念でした。
3
終盤まで姿を見せないヒロイン、アレンの同期である公爵令嬢リディヤという女の子が存在します。
リディヤは王立学校入学時には初級魔法程度しか使えなかったにもかかわらず、異例の卒業短縮制度が適用された天才として語られます。
競争が激しいとされる王立学校を舞台にした武勇伝を聞かされるたび、むしろこちらのエピソードが読みたいと思わされるのが複雑なところでした。
感想の要点
ファンタジー師弟もの
ハーレムコメディ色強し
ストーリーの起伏はフラット気味
コメディの内容がワンパターンか
備考
第3回カクヨムWeb小説コンテスト異世界ファンタジー部門・大賞受賞作
アニメ化予定(感想執筆時点では情報なし)